夏越の祓

二十四節気では「夏至」の頃──、
菖蒲や紫陽花など、雨に映える花々が咲き揃います。

夏至には、「日長きこと至る(きわまる)」という意味があり、
一年で最も昼が長く、夜が短くなる日。
梅雨のさなかで雨が多く、日ごとに暑さが増していきます。

六月三十日は、夏越の祓(なごしのはらえ)。
この半年間の穢れを祓い清めて、
残る半年間の無病息災を祈願します。

「六月三十日(みそか)は年の臍(へそ)」という言葉があるように、
この日は一年の折り返しとなる重要な節目。
夏越の祓は、大晦日に行われる「年越の祓」と対になり、
心身を祓い清めるための神事として大切に受け継がれてきました。

各地の神社では、茅(ちがや)を束ねた大きな輪をくぐり抜けることで、
厄除けや無病息災を祈願する「茅の輪くぐり」が行われます。
この慣わしは、神代の昔、スサノヲノミコトが蘇民将来という人物に一夜の宿を借り、
そのお礼に茅でつくった輪を護符として授け、
これを身に付ければ災厄を免れると告げたとされる
蘇民将来(そみんしょうらい)伝説に由来します。

夏越の祓で食される、伝統的な菓子「水無月」。
白い外郎生地に小豆を散りばめ、
三角形に切り分けて、氷のかけらに見立てた菓子です。
かつて、夏の氷は大変貴重なもので、
宮中では旧暦六月一日に氷室から取り出した氷を食して、
夏を健康に過ごせるように祈ったそうです。
一方、氷を手に入れることができなかった庶民の間では、
氷を模した水無月を食す慣わしが定着し、今に至るまで長く親しまれています。

梅雨が明ければ本格的な夏を迎えるこの時季、
目にも涼やかな水無月で、暑気払いを。